東京高等裁判所 昭和55年(ネ)1801号 判決 1981年4月23日
控訴人
株式会社オリエントファイナンス
右代表者
木谷義高
右訴訟代理人支配人
中本正敏
右訴訟代理人
菅原光夫
磯貝英男
被控訴人
岩永隆
主文
原判決を取消す。
被控訴人は控訴人に対し金四一万五五二〇円及びこれに対する昭和五三年四月二八日から完済まで日歩八銭の割合による金員を支払え。
訴訟費用は、一、二審とも被控訴人の負担とする。
この判決は、仮に執行することができる。
事実
控訴代理人は、主文同旨の判決及び仮執行の宣言を求めた。
被控訴人は、当審において口頭弁論期日に出頭せず、答弁書その他の準備書面を提出しない。
当事者双方の主張及び証拠関係は、次に付加するほか、原判決事実摘示と同一であるから、これを引用する。
控訴代理人は、当審において甲第四号証を提出し、かつ、本件契約の成立及びこれに関連する事項につき被控訴本人尋問を申し出たので、当裁判所はこれを採用して被控訴本人に対し適法の呼出をしたにも拘らず、同本人は出頭しない。
理由
控訴人の所持する甲第一号証は、昭和五一年七月二六日付申込者(ご本人)欄に石川隆名義の記名捺印のある控訴人あてクレジット契約申込書であつて、これには請求原因一(本判決の引用する原判決記載第二の一)に符合する記載があることは、その記載自体から明らかである。その形式趣旨により真正な公文書と認められる甲第四号証と弁論の全趣旨によれば、右申込書の申込者欄記載の氏名石川隆は、控訴人が主張する被控訴人の右申込がされた当時の被控訴人の氏名であり、その生年月日住所の記載も被控訴人のそれに一致することが認められる。
さらに、<証拠>によれば、控訴人の担当者田辺秀己は、その頃右申込書記載の石川隆方に電話して石川隆と名乗る者と通話し、同人から右契約締結の意思がある旨の確答を得たので、同人に対して右申込書を承諾するとの意思表示をし、ここに、甲第一号証に記載の内容の契約が成立したことが認められる。
被控訴人は、当審本人尋問の呼出に応ぜず、しかもその不出頭の理由を明らかにしないところ、前記認定の事実に徴すれば、民事訴訟法三三八条により右本人尋問の尋問事項に関する控訴人の主張すなわち、甲第一号証の成立の真正及び本件立替払契約が控訴人と被控訴人との間に成立したことを真実と認めるのが相当である。
請求原因二(本判決の引用する原判決記載第二の二)の事実は、被控訴人が明らかに争わないので、これを自白したものとみなす。
以上によれば、控訴人の請求はすべて正当としてこれを認容すべきであるから、これと異なる原判決を取消して、控訴人の請求を認容することとし、訴訟費用の負担につき民事訴訟法九六条、八九条、仮執行の宣言につき同法一九六条を適用して主文のとおり判決する。
(鈴木重信 倉田卓次 高山晨)